インサイド

現役生のこえ (ユニット紹介)

芳野 和晃 (石井研究室 博士後期課程)

 「⼈間の⼼」は、実に複雑で、私たちには到底理解できない存在に思えます。しかし、私たちはその不可解な⼼を通じて、世界を知覚し、物事を感じ、他者と関わりながら⽣きています。だからこそ、この⼼をより深く理解しようとする試みには、⼤きな意義とやりいあるのだと思います。

 本講座では、院⽣⼀⼈ひとりがそれぞれに「⼈間の⼼」に対するユニークな問いを抱き、 その問いを出発点として、実験、質問紙調査、質的調査、経験サンプリング法など、多様なアプローチから「⼈間の⼼」を解き明かそうと研究を進めています。毎週の演習では、博⼠前期課程・後期課程の院⽣が集まり、各々の研究について発表し、活発な議論を交わします。専⾨領域が近い院⽣からは、理論的・⽅法論的な鋭い指摘を、専⾨の異なる院⽣からは、新鮮な視点からの素朴な疑問が投げかけられ、⾃⾝の研究に対して新たな気づきを得るとともに、⾃⾝の研究を⾒つめ直しさらに深める機会になっています。
 本講座には、研究分野をリードする4名の著名な先⽣⽅が在籍されており、それぞれの ご専⾨に基づいた的確で⽰唆に富んだご指導を受けることができます。私の所属する⽯井 研究室では、⽂化⼼理学のアプローチから⼈間の⼼の理解を深めることを⽬指しています。 ⽂化⼼理学では、社会・⽂化環境がいかに私たちのものの⾒⽅や感じ⽅のような⼼の性質 を形成しているのか、そして、そのようにして形作られた⼼の性質がどのように社会・⽂化を⽀え、再⽣産しているのかという、⽂化と⼼の「相互構成過程」に注⽬します。研究室では、アメリカや中国などの異なる⽂化圏において実験や調査を⾏なっており、国際的なスケールの⼤きい研究を⾏うことができることが魅⼒だと感じています。
 本講座には、アイデアを単なる思いつきで終わらせず、研究として形にしていくための 環境が整っています。院⽣には個別の机とデスクトップ PC が貸与されているほか、実験 室や統計解析ソフト、眼球運動測定装置なども利⽤することができます。また、研究の成果発表も重視されており、多くの院⽣が国際誌への論⽂掲載を経験しています。論⽂執筆 や投稿の際には、先⽣⽅や先輩院⽣から懇切丁寧なサポートを受けることができるため、 研究経験が浅い私は、⼤変⼼強く感じています。また、国内外の学会などで研究成果の発表をする際には、⾦銭的な⽀援を受けることもできるため、⾃らの研究成果を世界に発信したり、国際⽔準の研究者と直接交流したりするなど研究者として成⻑するための貴重な 経験を積むことができます。

 このように充実した研究環境と先⽣⽅・先輩⽅からのサポートに⽀えられながら、院⽣ たちは⾼いモチベーションを維持し、互いに切磋琢磨しながら、 「⼈間の⼼」を解き明かす試みに⽇々挑戦しています。
 

服部 泰己 (平井研究室 博士前期課程)

 心理学講座では、発達認知、文化比較、社会心理に至るまで、きわめて幅広い分野で日々研究が行われています。学生や教員の関心も多様であり、それぞれが自身の興味に応じて研究テーマを柔軟に深められる環境が整っています。

 講座全体では、所属学生が週に一度集まり、研究内容や進捗を共有する「院演習」が行われています。異なる分野の研究に日常的に触れることで視野が広がり、新たな発想や問いに出会える貴重な機会となっています。また、複数の研究室が合同で開催するセミナーや研究会も活発に行われており、所属の垣根を越えて意見交換が行われる風土があります。たとえば、私が所属する平井研究室では、院演習に加え、研究室内のミーティング、北神研究室との合同ミーティング(MLM)がそれぞれ週1回行われています。
 研究活動を支える設備も充実しています。大小さまざまな実験室が10部屋以上あり、予約制で自由に利用可能です。1人1台のPC(Windows/Mac)の支給に加え、VRゴーグル、Tobii製アイトラッカー、ポリメイトをはじめとする生理指標測定装置など、多様な研究デザインに対応する機材が揃っています。新たな機材の導入にも柔軟で、学生の研究ニーズに対する高い対応力が感じられます。
学生生活の面では、コアタイムのような時間的拘束はなく、各自が自律的に研究を進めています。一方で、院生室では雑談や相談が日常的に行われており、互いに刺激を与え合える程よい距離感のコミュニティが形成されています。さらに、海外からの研究者の招聘や、学内外のネットワークを活かした研究会もあり、国際的かつ学際的な視野を育む機会も豊富です。

 在籍する学生のバックグラウンドも多様で、アジアを中心とした留学生、他大学からの進学者、他分野からの転向者などが集まり、学びの場としての多様性が保たれています。私自身も工業デザイン分野から転向し、人の認知メカニズムへの関心をきっかけにこの講座に進学しました。異なる専門性を持つ仲間との交流は、研究の広がりと深まりに大きく貢献していると感じます。なお、修了後の進路については、研究職だけでなく一般企業に就職する学生も多く、進路の幅広さも特徴の一つです。
 本講座は、自身の専門性をじっくり深める一方で、交流を通じてより知見の幅を広げたい方にとって、とても充実した学びの場ではないでしょうか。
 

OB/OGのこえ

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