心理学は「心のことわり(理)」の学問とも読めることからもわかるように、人の心がどのようなものなのかを考える学問として、心のはたらきに関する多種多様な疑問に答えていこうとしています。心のはたらきの不思議さは、人をひきつけてやまないものがあり、それを解明していくことの楽しさが心理学の魅力のひとつです。

情報学部心理・認知科学系は4人の教員で構成されていますが、そのいずれも「情報を処理する主体としての人間観」、すなわち「情報論的人間観」をベースに仕事をしています。情報論的人間観とは、私たちの心のはたらきを、外界から入ってくる情報や自分が勝手に頭の中で作り出した情報を加工するプロセスであると考えることです。そのうえで、様々な情報処理メカニズムが、人間の感情、認知、行動をどのように作り出していくかを考えます。情報処理には、脳神経の働き、知覚、記憶、情報の解釈や意味付けなど幅広いものが含まれます。

 

このような考え方は決して人に対する「ドライ」な見方ではありません。たとえば、あなたが感じるリアルな感情は、紛れもなく、あなたの脳神経活動と対応しています。また、どのような感情を経験するかは、感情を引き起こした出来事の内容をどのように解釈するのかで決まります。私たちの心のはたらき、すなわち「主観」や「気持ち」がどこからくるのかはとても不思議なことです。その不思議さを「情報の流れ」という観点から見つめて、人の心の「ホットな」動きを解明しようをするアプローチが「情報論的人間観」なのです。

 

心のはたらきがどのようなものであるかを、科学的・客観的な手法で解明するためにはデータが必要です。データをとる作業は面 倒であるとか、自分の自由な考えをそのまま議論したいという人がいるかもしれません。しかし、実験や調査により得たデータをもとにすることで、そこでの議論はひとりよがりのものではなく、自信を持って正しさを主張できるものとなるのです。たとえば過去の研究成果 に対して、あなたのデータが「それは間違いである」ことを示したとしたら、そのことを新たな発見として堂々と主張することが可能になります。

 

心理・認知科学系に所属する学部生は、3人の教官スタッフの誰かを指導教員に指定し、卒業論文を作成します。卒業論文を教員との共同研究として学術雑誌に投稿・掲載している人も何人かいます。もちろん、指導教員以外の教員も様々な形で卒業論文の作成を支援します。教員の指導の「守備範囲」は大まかに、認知心理学(北神平井)、社会心理学(唐沢石井)です。

 

心理・認知科学系の教員は、それぞれの分野において国際的なレベルで活躍しています。現在の心理学研究の最先端を行く成果 は、海外・国内の学会誌や学会で発表されています。学部生・院生は、ゼミや研究会への参加、教員との共同 研究を通 して、心理学の豊かな成果を実感しながら新たな知の探求に参画しています。また、他領域の研究者と積極的に連携して、様々な研究活動が行なわれています。それらに参加することで、心理学のみならず、多様な学問領域での経験を深めることが可能です。

 

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